むなかたと申します。
今回は第32回試験過去問の中から、「障害の理解」について解説していきたいと思います。
私の経験から言わせていただくと、介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをしっかりとやっていけば、テキストなどを買わなくても、充分に合格が出来る問題だと思います。
試験合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!
では、早速始めていきたいと思います。
障害の理解
問題87
- 1 日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)の障害
- 2 運動麻痺
- 3 失語
- 4 職場復帰困難
- 5 経済的不利益
日常生活動作の障害は能力障害に分類されます。
国際障害分類(ICIDH: International Classification of Impairments、Disabilities and Handicaps)とは、20世紀後半に障害、すなわち「疾患が生活・人生に及ぼす影響」をみる必要があるという意識の高まりを受けて作られた、障害の構造を表すモデルです。
ICIDH:WHO国際障害分類(1980)の障害構造モデル
このモデルは障害を機能・形態障害、能力障害、社会的不利の三つのレベルに分けて捉えるという、「障害の階層性」を示した点で画期的なものでした。
しかし、障害というマイナス面を中心にみるものであり、プラス面に目を向けていない、という批判から、2001年に国際生活機能分類(ICF)へと改定される流れとなりました。
解説:
2、運動麻痺は機能障害に分類されます。
3、失語は機能障害に分類されます。
4、職場復帰困難は社会的不利に分類されます。
5、経済的不利益は社会的不利に分類されます。
問題88
- 1 法の対象者は、身体障害者手帳を持っている人である。
- 2 合理的配慮とは、全ての障害者に同じ配慮をすることである。
- 3 共生社会の実現を目指している。
- 4 障害者は、合理的配慮の提供に努めなければならない。
- 5 障害者差別解消支援地域協議会は、民間事業者で組織される。
(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
障害の有る無いに関わらず、お互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きていける社会の実現が目的なので3が正解です。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を参照ください。
目的のところに書かれています。
解説:
1、法の対象者は全ての国民になりますので誤りです。
2、一人ひとり障害や状況、環境も違うので個別の配慮をする必要があります。なので誤りです。
4、合理的配慮の提供に務めるのは、障害を持っていない人の方なので誤りです。
5、国及び地方公共団体の機関のうち、障害者施策に関連する部署をはじめ、NPO法人などの団体、学識経験者などで組織されるため誤り。
問題 89
- 1 筋ジストロフィー(muscular dystrophy)
- 2 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)
- 3 脳血管疾患(cerebrovascular disease)
- 4 脳性麻痺(cerebral palsy)
- 5 脊髄損傷(spinal cord injury)
問題 90
- 1 脳腫瘍(brain tumor)
- 2 アルコール依存症(alcohol dependence)
- 3 パニック障害(panic disorder)
- 4 認知症(dementia)
- 5 統合失調症(schizophrenia)
精神障害には、大きく分けて外因性・心因性・内因性があります。
外因性は、原因がはっきりしているもの。原因はいろいろで身体の疾患、外傷、薬剤等があります。脳の障害による外因性精神障害として代表的なのがてんかんです。
心因性は主にストレスや個人の性格などを原因とするものになります。
内因性は外因性と心因性を除いたものをいいます。
東京逓信病院ホームページを参照
解説:
1、脳腫瘍は外因性精神障害に分類されるので誤りです。
2、アルコール依存症は外因性精神障害に分類されるので誤りです。
3、パニック障害は心因性精神障害に分類されるので誤りです。
4、認知症は外因性精神障害に分類されるので誤りです。
問題 91
次のうち、Fさんが地域移行するときの社会資源として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 ケアハウス
- 2 共同生活援助(グループホーム)
- 3 自立支援医療
- 4 精神科病院
- 5 同行援護
障害者福祉のサービスについての問題です。
施設入所支援は夜間の日常生活上の支援になります。選択肢の中で夜間の生活上の支援があるのはグループホームだけになりますので2が正解です。
参考のために障害者福祉サービス一覧のリンクを貼っておきます。
WAM NET公式ホームページ
解説:
1、ケアハウスは介護度が低い方の向けのサービスです。
重度のFさんには向いていないので誤りです。
3、医療も必要かもしれませんが、地域移行の際に施設入所支援の代わりに夜間の支援ができるものでは無いので誤りです。
4、治療が必要だという記述は無いので、この事例の場合は誤りです。
5、外出時だけではなく、日常生活全般で支援が必要なので最も必要な社会資源では無いので誤り。
問題 92
- 1 読み書きの障害
- 2 社会性の障害
- 3 注意の障害
- 4 行為障害
- 5 運動障害
自閉症スペクトラム障害の特徴として、対人関係が苦手・強いこだわりがあるというのがあげられますので、2が正解です。
自閉症スペクトラムについては
すまいるナビゲーターホームページを参照下さい。
問題 93
- 1 免疫疾患である。
- 2 振戦や筋固縮が主な症状である。
- 3 視力や聴力は保たれる。
- 4 運動失調が現れる。
- 5 全身の臓器に炎症を起こす。
筋萎縮性側索硬化症とは:手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。
その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。
その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
解説:
1、いまだに原因は不明なので免疫疾患かどうかは分かりません。わかっているのは、上に書いた運動神経が障害を受けるという事です。なので誤りです。
2、手や足だけではなく、喉や舌など呼吸器系にも症状が出て、呼吸苦やむせ、飲み込みにくさなどの症状も出てきます。
振戦や筋固縮が主な症状の疾患にはパーキンソン病があります。
4、運動失調症とは、目的の運動に関係する様々な動きの協調性が悪くなるため、それを円滑にできなくなる状態を指します。
ALSでは運動神経の障害が原因で筋肉が衰えるのも副次的な症状なので、これには当てはまらないと考えられます。
5、臓器ではなく、神経に炎症を起こす事があります。
問題 94
動がみられるようになった。このときのGさんの障害受容の状況として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 ショックではあるが,不安はそれほど強くない。
- 2 自分には障害はないと否認する。
- 3 前向きに自己努力を図ろうとする。
- 4 否認ができずに混乱する。
- 5 新しい価値観や役割を見いだす。
障害受容の問題です。
怒りや混乱する様子が見られます。
【障害受容の5段階】
ショック期:障害発生の直後。感情が鈍麻した無関心な状態にあることが多い。
否認期:身体的状態の安定とともに心理的防衛反応としての疾病・障害の否認を生じる。
混乱期:怒り、うらみ、悲嘆、抑うつなどの混乱した状態。
解決への努力期:前向きの建設的な努力が主になる時期。
受容期:社会(家庭)のなかで新しい役割や仕事を得て、活動をはじめ、その生活に生きがいを感じるようになる。
解説:
1、怒りや頭をぶつけるなどのどうしようもない感情が見られるので不安が無いとは思えません。なので誤りです。
2、否認であれば、自分には障害は無いと思うので、怒りや頭をぶつけたりする事も無いので誤りです。
3、前向きに自己努力を図ろうとはしていないので誤り。
5、受容には至っていないと思われるので誤りです。
問題 95
Hさんのホーエン・ヤール重症度分類として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 ステージⅠ
- 2 ステージⅡ
- 3 ステージⅢ
- 4 ステージⅣ
- 5 ステージⅤ
ホーエン・ヤールの重症度分類の問題です。
問題文から、方向転換が不安定、介助を必要としないとありますのでⅢ度に当てはまります。
パーキンソン病の進行度を示す指標としては、「Hoehn & Yahr(ホーエン・ヤール)の重症度分類」と「生活機能障害度分類」が広く用いられています。
(※ホーエン・ヤールはホーン・ヤールと記載されているものもありました。)
ホーエン・ヤールの重症度分類:
Ⅰ度 体の片側だけに手足のふるえや筋肉のこわばりがみられる。体の障害はないか、あっても軽い。
Ⅱ度 両方の手足のふるえ、両側の筋肉のこわばりなどがみられる。日常の生活や仕事がやや不便になる。
Ⅲ度 小刻みに歩く、すくみ足がみられる。方向転換のとき転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが、介助なしに過ごせる。職種によっては仕事を続けられる。
Ⅳ度 立ち上がる、歩くなどが難しくなる。生活のさまざまな場面で、介助が必要になってくる。
Ⅴ度 車いすが必要になる。ベッドで寝ていることが多くなる。
ちなみに、
生活機能障害度分類:
Ⅰ度 日常生活、通院にほとんど介助がいらない。
Ⅱ度 日常生活、通院に部分的な介助が必要になる。
Ⅲ度 日常生活に全面的な介助が必要で、自分だけで歩いたり、立ち上 がったりできない。
ホーエン・ヤール分類のⅠ度とⅡ度が生活機能障害度分類のⅠ度に、
Ⅲ度とⅣ度がⅡ度に、Ⅴ度がⅢ度にあたります。
パーキンソン病についてもう少し詳しく知りたい方は、
⤵︎⤵︎こちらの記事をどうぞ。⤵︎⤵︎
問題 96
- 1 家族会が行う悩み相談
- 2 近隣の住民からの善意の声かけ
- 3 同居家族が行う身の回りの介護
- 4 コンビニエンスストアによる見守り
- 5 民生委員が行う相談・援助
地域の社会資源に関する問題です。制度化されたというところがポイントになります。
解説:
1、家族会は任意の団体で、制度化はされていません。
2、制度化した時点で善意の声かけでは無くなってしまいそうです。
3、同居家族が身の回りの介護をおこなう制度にしてしまうと、介護離職が物凄い数になってしまいます。
4、地域や警察などと連携して見守りをおこなってくれているコンビニもありますが、制度化はされていないので誤りです。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。