むなかたと申します。
今回は第32回試験過去問の中から、「生活支援技術」について解説していきたいと思います。
私の経験から言わせていただくと、介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをしっかりとやっていけば、テキストなどを買わなくても、充分に合格が出来る問題だと思います。
試験合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!
では、早速始めていきたいと思います。
生活支援技術
問題35
- 1 家具には、キャスターをつける。
- 2 書棚の上部には、重い物を収納する。
- 3 食器棚は、ガラス扉を外す。
- 4 外への避難経路は、玄関の 1 方向とする。
- 5 非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。
訪問介護員がというより、災害時の基本知識という感じですよね。
解説:
1、キャスターがついていると、地震の揺れで家具が動いたり、倒れやすくなるので危険です。なので誤りです。
2、上に重い物をおくと重心が高くなり、倒れやすくなります。さらに上から重たい物が落ちてくる危険もあるので誤りです。
3、ガラス扉を外してしまうと、中の食器が飛び出して床に破片が散らばる危険がありますので誤りです。
4、玄関から避難出来ない可能性もあるので、避難経路は複数想定しておいた方が良いです。なので誤りです。
問題36
- 1 開き戸は、自動ドアに変更できる。
- 2 和式便器の上に、腰掛け便座を設置できる。
- 3 滑りにくい床材に変更できる。
- 4 取り外しが可能な手すりを設置できる。
- 5 現在使用している洋式便器に、洗浄機能を付加できる。
床材がすべりやすく、転倒の危険がある場合、住宅改修を利用して床材をすべりにくいものに変更出来ます。
解説:
1、自動ドアへの変更は出来ません。なので誤りです。開き戸を引き戸に変える事は出来ます。
2、腰掛便座は福祉用具の購入になりますので誤りです。和式便器から洋式便器に取り換えるのは住宅改修で出来ます。
4、手すりは固定式のみ住宅改修で可能です。なので誤りです。
5、和式便器から洋式便器に変更する事は出来ますが、洋式便器に洗浄機能を付け加える事は出来ません。
問題37
- 1 高齢者が優先的に使用できる。
- 2 使い方を統一する。
- 3 情報伝達の手段は一つにする。
- 4 使用するためには訓練が必要である。
- 5 誰にでも使える大きさと広さが確保されている。
原則7の使用のためのスペースにあたります。
ユニバーサルデザイン:適応や特別な設計を必要とせずに、可能な限りすべての人が使用できる製品と環境の設計。
・原則1:公平な使用
このデザインは、さまざまな能力を持つ人々にとって有用であり、市場性があります。
・原則2:使用の柔軟性
この設計は、幅広い個人の好みや能力に対応します。
・原則3:シンプルで直感的な使用
デザインの使用は、ユーザーエクスペリエンス、知識、言語スキル、または現在の集中レベルに関係なく、理解しやすいものです。
・原則4:知覚可能な情報
このデザインは、周囲の状況やユーザーの感覚能力に関係なく、必要な情報をユーザーに効果的に伝達します。
・原則5:エラーへの耐性
設計は、偶発的または意図しない行動の危険性と悪影響を最小限に抑えます。
・原則6:低い物理的労力
この設計は、効率的かつ快適に、最小限の疲労で使用できます。
・原則7:アプローチと使用のためのサイズとスペース
ユーザーの体のサイズ、姿勢、または可動性に関係なく、アプローチ、リーチ、操作、および使用のために適切なサイズとスペースが提供されます。
解説:
1、高齢者だけではなく、誰もが公平に使えなければなりません。なので誤りです。
2、使う人によって様々な使い方が出来ないといけませんので誤りです。
3、必要な情報をあらゆる人に伝えるために、絵、文字、色、光など様々な方法で伝えなければならない。なので誤り。
4、誰もが直感的に使えるものではなければならないので誤りです。
問題38
- 1 着替えができない理由を本人に確認する。
- 2 左右がわかるように衣類に印をつける。
- 3 着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。
- 4 衣服を畳んで渡す。
- 5 着衣の方法を毎回変えるように勧める。
失行とは:麻痺などの運動障害は無く、言われた事も理解しているにもかかわらず、日常生活でおこなっている動作がうまく出来なくなる事。
交通事故サポートセンターより引用
解説:
1、方法や手順が分からなくなってしまう症状なので、着替えが出来ない理由を本人に聞くと、さらに混乱される可能性もあります。なので誤りです。
3、言葉や記憶にも障害がある事があり、口頭での説明だけでは難しい場合があります。紙に文字として書いてゆっくり見られるなどの工夫が必要になります。その時に絵や図を入れるなどすると分かりやすくなります。なので誤りです。
4、畳んで渡してしまうと、上下や左右が分からなくなってしまう事がありますので、対応としては誤りです。
5、毎回方法を変えてしまうとますます出来なくなってしまう可能性があります。方法を統一して繰り返しおこなっていきましょう。
問題39
- 1 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
- 2 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。
- 3 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
- 4 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。
- 5 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。
ボタンを穴に通すのは、細かな動作が難しい方には難易度が高いと思います。マグネット式にする事でご自分で着替えが出来る可能性があります。
解説:
2、ボタンエイドはボタン穴に通して、ボタンにひっかけて、そのまま引っ張り出す、という動作が必要となります。認知症の方の中には難しすぎる作業になる人もいると思いますので誤りです。
3、下肢筋力低下のある人が立位で更衣をおこなうと転倒の危険が高まります。なので誤りです。
4、ソックスエイドは前に屈むことが難しい、腰痛の方や妊婦さんなどが屈まずに靴下を履く事が出来るものです。視覚障害があっても靴下は履けますので適当ではありません。
5、片麻痺のある人も、片側では細かい動作がしにくくなる事があります。袖ぐりが小さいとそれだけ通すのが難しくなるので、袖ぐりは大きい方が着やすいと思います。なので誤りです。
問題40
- 1 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、洗面時の関節可動域の制限を改善する。
- 2 支援相談員は、着脱に使用する福祉用具を選定する。
- 3 栄養士は、破損した義歯を修復する。
- 4 看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
- 5 理学療法士は、身体状況に合わせて衣類を作り直す。
糖尿病の利用者は小さな傷でも感染症になる可能性が高いので、
解説:
1、関節可動域の制限を改善するのは、理学療法士がおこないます。
2、支援相談員の仕事は、相談援助です。なので誤りです。
3、破損した義歯を修復するのは、歯科技工士さんの役割です。
5、衣類を作り直すのは家族や介護職の役割です。
問題41
- 1 移乗の目的を説明して同意を得る。
- 2 移乗の方法を説明する。
- 3 衣服を着替えてもらう。
- 4 車いすを介護しやすい位置に調整する。
- 5 ベッドの高さを調節する。
移乗だけではなく、全ての援助で説明と同意無しには援助はおこなえません。
解説:
2、まずは説明と同意からです。なので誤りです。
3、移乗の目的は書かれていないので、必ずしも着替えをおこなう必要はないと思われます。なので誤りです。
4、車いすの位置を調整するのは、説明と同意を得て、さらに本人の状態を移乗出来るような体勢に介助してからでよいでしょう。
5、ベッドの高さを調整するのはほぼ最終段階です。なので誤りです。
問題42

- 1 左前方へのふらつき
- 2 右前方へのふらつき
- 3 左後方へのふらつき
- 4 後方へのふらつき
- 5 右後方へのふらつき
解説:
重心線という言葉が分かりづらいですが、図の左足と右足の重心(中心と言い換えると分かり易いかと)が点Xです。
重心が点Yの地点に移動するという事は、点Yの地点が左足と右足の重心(中心)になります。
点Yが中心になるためには、右足は右斜め前方にないといけません。そのため、右足が右斜め前方に出ようとするのでその方向にバランスを崩すと考えられます。
1から5の中で、一番可能性が高いのは右前方へのふらつきです。なのでこの中では2が適切だと思われます。
問題43
- 1 手すりが利用者の右側になるように声をかける。
- 2 階段を昇るとき、利用者の左後方に立つ。
- 3 階段を昇るとき、右足から出すように声をかける。
- 4 階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。
- 5 階段を降りるとき、左足から出すように声をかける。
右片麻痺の方は、右側に力が入りにくいので右側へ倒れる可能性が高いので、介助者は倒れる可能性が高い方に立ち、支えられるようにします。
解説:
1、手すりが右側になると、手すりがしっかり使えません。左手側に手すりが来るように立っていただきましょう。
2、前方は手をついたり出来ますが、後方に倒れると支えが何も無く危険です。力の入りにくい右側の後方に立って介助しましょう。
3、階段を登る時には、先に出した足で全体重を移動させなければなりません。力の入りにくい右足では全体重を持ち上げて移動させるのは難しいでしょう。なので誤りです。
5、3とは反対に降りる時には残った方の足で全体重を支えなららバランスを取らないといけませんので、右足から出すのが正しいです。
問題44
介護福祉職が食事バランスガイドを用いて摂取を勧める区分として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 主食
- 2 副菜
- 3 主菜
- 4 牛乳・乳製品
- 5 果物
栄養素の働きは大きく三つに分けられます。
①エネルギーになるもの ②身体をつくるもの ③身体の調子を整えるもの
「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と言われているので、筋力の低下が考えられます。
この事例の方の場合、筋肉を作るために必要な、タンパク質を多く含む肉や魚、卵が多く摂れる主菜が望ましいです。
ちなみに、下の図が食事バランスガイドの図になります。
農林水産省公式ホームページより引用
解説:
1、お茶漬けやうどんは主食になるので、これは充分に摂れています。
2、野菜も必要な栄養素が多いですが、この事例の方には主菜の方がより適切です。
4、この方はカルシウム不足とは言われていませんので、まずは主菜からススメましょう。
5、この方にとっては、主菜よりも優先順位が低いので誤りです。
問題45
- 1 顎を上げてもらう。
- 2 テーブルは、肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。
- 3 テーブルと体の間を 30 cm 離す。
- 4 体幹を後方に傾けてもらう。
- 5 いすに浅く座ってもらう。
肘が自由に動く事で、手も自由になり食べやすくなります。
解説:
1、救命処置でも習いましたが、アゴを上げると気道を確保してしまうので、むせやすくなります。なので誤りです。嚥下を促すためにも、少しアゴを引いたくらいが良いでしょう。
3、30cmを想像してください。おそらく手を伸ばさないと食事に手が届かないくらいになるでしょう。食べにく過ぎるので誤りです。
4、単純に食べにくそうです。どちらかというと腹筋を鍛える姿勢。少し前屈みになるくらいの姿勢が望ましいです。なので誤り。
5、食事がメインなので、食べやすい姿勢をとります。しっかり深く座り、膝が大体90度で足の裏がしっかり地面についた安楽な座位姿勢をとっていただきましょう。
問題46
- 1 骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンD(vitamin D)の摂取を勧める。
- 2 高血圧症(hypertension)の予防として、果物の摂取を控える。
- 3 便秘の予防として、水分摂取を控える。
- 4 ドライマウス(dry mouth)の予防として、柔らかい食物を勧める。
- 5 逆流性食道炎(reflux esophagitis)の予防として、食後すぐに横になる。
骨粗鬆症といえばカルシウムが一番最初に思いつきますが、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きを持っていますので、骨粗鬆症の方には重要な栄養素です。
解説:
2、高血圧症の予防としては塩分摂取を控える事が大切です。
腎不全の方は、腎機能が低下しカリウムを排出する機能が落ちて、高カリウム血症になりやすいので、果物の摂取を控えた方が良いです。
高カリウム血症は不整脈や脱力感、嘔吐などの症状をもたらす事があります。
3、水分不足は便秘の原因になりますので誤りです。
4、よく噛んで食べる事で唾液の分泌を促し、ドライマウスの予防になりますので、柔らかい食事よりしっかり噛んで食べる食事の方が予防としては適しています。なので誤りです。
5、名前の通り逆流してきますので、横になってしまうと逆流しやすい状態になってしまいます。なので誤り。
食後2時間ほど身体を起こしておく方が望ましいです。
問題47
- 1 利用者の左側にトレー(tray)を置く。
- 2 トレー(tray)の右側に印をつける。
- 3 クロックポジションに従って配膳する。
- 4 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。
- 5 利用者の右側にあるテレビをつけておく。
観察をおこなう事で、どの辺りまで認識出来ているか、どの位置が食べやすいのかなどが分かってきます。
解説:
1、左が認識出来ないので、左に置いたら食べられません。なので誤りです。
2、印をつけるのなら、認識しにくい左側につけましょう。右は認識出来ています。
3、これは目が見えない方への対応です。
5、これも2と同じで、認識を促すためにテレビをつけるのであれば、左側にテレビがないと駄目ですね。左側に注意喚起したい訳ですから。
問題48
- 1 目のまわりは目尻から目頭に向かって拭く。
- 2 背部は患側を下にして拭く。
- 3 腹部は臍部から恥骨部に向かって拭く。
- 4 両下肢は 末 梢 から中枢に向かって拭く。
- 5 皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。
足の拭き方としては、足首から太ももに向けて拭いていきます。そこからくるぶし、かかと、足の裏、指の間と拭いていきます。
解説:
1、目頭から目尻に向かって拭いていきます。
2、患側は上にします。
3、腹部はおへそからのの字に拭いていきます。
5、水分が残っていると気化する時に熱を奪われるので寒さを感じます。なので皮膚についた水分はすぐに拭きましょう。
問題49
- 1 血液透析を受けている人は、透析直後に入浴する。
- 2 胃ろうを造設している人は、入浴を控える。
- 3 心臓機能障害がある人は、半身浴にする。
- 4 酸素療法を行っている人は、鼻カニューレを外して入浴する。
- 5 回腸ストーマを造設している人は、食後 1 時間以内に入浴する。
心臓機能に障害のある方は、入浴時の水圧にも影響を受けますので、半身浴が望ましいです。
解説:
1、透析後は血圧が下がる事が多いので、原則として透析後に入浴する事は禁止されています。感染の危険もあります。
2、胃ロウを造設していても、普通に入浴できます。
4、入浴中は酸素が多く必要なので、外してはいけません。
5、回腸ストーマでは食直後から排便が見られる事がありますので、食後2時間以上経った後など排便のない時間を選びます。
問題50

- 1 A
- 2 B
- 3 C
- 4 D
- 5 E
ベッド柵が健側にあり、向きを変えるときの距離も短いので、最小限の動きで移乗が出来ます。
解説:
1、排便もするのに、顔の横にトイレって置きませんよね。この位置だとお尻の向きを帰る時に手を離すか、反対周りに足の踏み換えをする必要が出てくるため、不適切です。
3、そもそもポータブルに行くのに移乗だけではなく歩行が必要となるので安全ではないですね。新手のリハビリでしょうか?
4、ベッド柵が健側にないので適切ではありません。
5、ベッド柵が患側側です。顔の近くにトイレを置く事も不適切です。
問題51
- 1 水分摂取を控えてもらう。
- 2 カテーテルが折れていないことを確認する。
- 3 採尿バッグは膀胱と同じ高さに置く。
- 4 尿漏れが見られたらカテーテルを抜去する。
- 5 尿量の確認は看護師に依頼する。
カテーテルが折れてしまうと、尿が流れなくなりカテーテルが詰まってしまう可能性があります。
解説:
1、医師からの水分を控えるようにいう指示がない限り、充分な水分補給が必要です。水分が減ると尿量が減って尿が濃くなったり濁ったりしやすくなります。そうするとカテーテルが詰まりやすくなります。脱水症状を起こす危険もありますので誤りです。
3、尿が逆流する可能性があるので誤りです。水と同じで高いところから低いところに流れていきます。
4、カテーテルの抜去や挿入は医療行為にあたりますので、介護福祉職ではおこなえません。なので誤りです。
5、尿量の確認は医療行為ではないので、介護福祉職でもおこなえます。
問題52
- 1 挿入時は仰臥位(背臥位)で膝を伸ばす。
- 2 挿入時は腹式呼吸を促す。
- 3 坐薬(座薬)はとがっていない方から挿入する。
- 4 挿入後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。
- 5 衣服を整えてから手袋を外す。
答え:4です。
しっかり挿肛出来ていないと、座薬が出てきてしまう事があります。
解説:
1、仰臥位で膝を伸ばしていると肛門部が見えないので、膝を曲げて側臥位など肛門部が見えやすい姿勢が良い。
2、腹式呼吸だと腹圧がかかって、外肛門括約筋が緊張するので誤り
です。
3、座薬は尖っている方から挿肛します。
5、座薬を入れる事で手袋は汚染してしまいますので、衣類を整える前に外します。
問題53
- 1 ウエルシュ菌
- 2 カンピロバクター
- 3 サルモネラ菌
- 4 腸炎ビブリオ
- 5 黄色ブドウ球菌
肉や魚を使った煮込み料理での食中毒の原因菌になりやすいです。
酸素が少ない環境を好む菌で、カレーやシチューは要注意です。
解説:
2、カンピロバクターは色んな動物が持っている菌ですが、通常の加熱調理で死滅しますので誤りです。
3、卵とその加工品、生肉やスッポンなどに多い菌です。
こちらも、75℃で1分以上の通常調理で死滅すると言われていますので誤りです。
4、主に魚介類や海水に多くいる菌です。
真水に弱い菌で、60℃10分間の加熱で死滅する菌なので、カレーにいる可能性は低いので誤りです。
5、人の手指や皮膚に生息している菌で、傷口には特に多くいます。
黄色ブドウ球菌は菌が死滅しても毒素が残るのが厄介なところで、その毒素であるエンテロトキシンは100℃30分の加熱でも無毒化されません。
細菌とウイルスの違い
・細菌
細菌は細胞を持ち、自己複製能力を持った微生物です。一つの細胞しか無いので単細胞生物です。
大きさは、通常1mmの1/1000の単位【μm(マイクロメートル)】が用いられます。細菌は光学顕微鏡で見ることができます。
糖などの栄養と水があり、適切な環境のもとでは、生きた細胞がなくても自分自身で増殖できます。
例外はありますが、一般的にペニシリンなどの抗生物質(細菌の細胞などを攻撃することができる薬)が有効です。
抗生物質は、多細胞生物である生物が真核細胞(遺伝子が膜で覆われている)であるのに対し、細菌が原核細胞(遺伝子が膜で覆われていない)であるため、その異なる性質を利用して細菌にだけに効くようにした薬です。
・ウイルス
ウイルスは、蛋白質の外殻、内部に遺伝子(DNA、RNA)を持っただけの単純な構造の微生物です。細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行いません。
大きさは、細菌よりもはるかに小さく、μmの更に1/1000の単位【nm(ナノメートル)】が用いられます。ウイルスを見るには電子顕微鏡が必要です。
細胞を宿主にするため、ウイルスがより小さいのは当然です。
たとえ栄養と水があったとしても、細菌とは異なり、ウイルス単独では生存できません。ウイルスは、自分自身で増殖する能力が無く、生きた細胞の中でしか増殖できませんので、他の生物を宿主にして自己を複製することでのみ増殖します。
ウイルスが感染した細胞は、ウイルスが増殖して多量のウイルスが細胞外に出てくるため死滅します。そして、その増殖したウイルスがまた他の細胞に入り込んで増殖を続けます。そのため、宿主の細胞が次々と死滅してゆくことで生物は耐えることができずに死亡に至るわけです。すなわち、ウイルスにとって、他の個体へ感染させ続けることが生き残るための必須条件です。感染力はウイルスにより異なります。
抗生物質は効力はありません。一部インフルエンザウイルスなどに有効な抗ウイルス剤(ウイルスの増殖を抑制する薬)があります。
ワクチンは、無毒化したウイルスを体内に入れて免疫力を高め、実際に感染したときに急激にウイルスが増殖することを抑えます。
株式会社 東邦微生物病研究所公式ホームページより引用
食中毒の原因菌
名前 | 原因食品 | 潜伏期間 | 感染経路 | 症状 | 予防ポイント |
腸炎ビブリオ | 魚介類 刺身、 寿司 |
8から24時間 | 海水中に生息。 真水や酸に弱い。 |
腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐 | 魚介類は新鮮な物でも真水でよく洗う。 短時間でも冷蔵庫に保存し増殖を抑える。60℃10分間の加熱で死滅。 |
サルモネラ属菌 | 鶏卵、 食肉、 うなぎ、 スッポン、 乾燥イカ |
6から72時間 (菌によって異なる) |
動物の腸管、 自然界に広く分布。 生肉、 特に鶏肉と卵を汚染する事が多い。 乾燥に強い。 |
激しい腹痛、 下痢、 発熱、 嘔吐 |
肉・卵は十分に加熱する。 (75℃以上で1分以上) 卵の生食は新鮮な物に限る。 卵や生肉は10℃以下(出来れば4℃以下)の低温管理。 |
O−157 腸管出血性大腸菌 その他の病原性大腸菌 |
加工食品、水耕野菜、井戸水 | 数日 その他の病原性大腸菌は、 1から数日。 |
熱、 消毒剤に弱い。 |
腹痛、 下痢、 発熱、 嘔吐 ※O-157では、 「ベロ毒素」という強力な毒素が大腸の血管壁を破壊し、鮮血混じりの血便が出る。 溶血性尿毒症で死亡することがある。 |
他の細菌性食中毒と同様に調理器具、 |
カンピロバクター属菌 | 食肉 (特に鶏肉) 飲料水、 生野菜など |
1から7日 | 家畜、 家きん類の腸管内に生息し、 食肉 (特に鶏肉)、 臓器や飲料水を汚染する。 乾燥にきわめて弱く、また通常の加熱調理で死滅する。 |
発熱、 倦怠感、 頭痛、 吐き気、 腹痛、 下痢、 血便など |
調理器具を熱湯消毒し、 |
黄色ブドウ球菌 | 乳・乳製品 (牛乳・クリームなど) 卵製品、 畜産製品(肉・ハムなど)、 穀類とその加工品 (握り飯、弁当) 魚肉ねり製品 (ちくわ、かまぼこなど)、 和洋生菓子 など手作りの物に多い。 |
1から3時間 | 人や動物に常在する。 毒素 (エンテロトキシン) を生成する。 毒素は100℃、 30分の加熱でも無毒化されない。 |
吐き気、 嘔吐、 腹痛、 下痢。 |
指手の洗浄、 |
セレウス菌 | 嘔吐型: ピラフ、 スパゲッティ 下痢型: |
嘔吐型: 30分から 6時間 下痢型: |
土壌などの自然界に広く生息する。 毒素を生成する。 芽胞は90℃、 60分の加熱でも死滅せず、 家庭用消毒薬も無効。 |
嘔吐型: 嘔吐、 吐き気 下痢型: |
米飯や麺類を作り置きしない。 |
ボツリヌス菌 |
缶詰、 乳児ボツリヌス症: |
8から6時間 | 土壌中や河川、 動物の腸管など自然界に広く生息する。 酸素のないところで増殖し、 熱にきわめて強い芽胞を作る。 毒性の強い神経毒を作る。 毒素の無害化には、80℃で30分間の加熱を要する。 |
吐き気、 嘔吐、 筋力低下、 脱力感、 便秘、 神経症状 (複視などの視力障害、発声困難、呼吸困難など) |
発生は少ないが、 |
ノロウイルス | 二枚貝 (カキ、 ハマグリなど) 患者の糞便、 嘔吐物など |
1から3日 | 10月から4月にかけ集中発生。 食品中では増殖せず、 人の腸内のみで増殖。 少量で感染し、 感染力が強い。 |
下痢、 吐き気、 腹痛、 発熱 (38℃以下) 通常3日以内で回復 |
手洗いの励行食材の加熱(85から90℃、 |
問題54
- 1 嘔吐物を拭き取ったペーパータオルはごみ箱に捨てる。
- 2 汚染された部分にアルコールを噴霧する。
- 3 汚染された部分を強くもみ洗いする。
- 4 嘔吐物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。
- 5 40°Cの湯で洗濯する。
ノロウイルスには塩素系消毒薬が有効と言われています。他には熱湯による食毒という方法もあります。
衣類の場合、色落ちもあるので方法を選択して下さい。
ノロウイルスの対応をする時には、エプロンとマスク、手袋、靴カバー、帽子などを使用して、出来る限り露出部分を少なくしてウイルスや飛沫が直接つかないようにして、使用した物品から二次感染しないように注意する必要があります。
解説:
1、ペーパータオルをゴミ箱に捨ててしまうと乾燥したノロウイルスが空中をフワフワと漂ってしまい、それが口に入って感染する事もあります。
乾かないうちに拭き取ってビニールの袋などに入れて口をしっかり閉じましょう。
その後の、換気も大切です。
2、アルコール除菌も効果が全く無いという訳では内容ですが、塩素系消毒液の効果が明らかなので、こちらを使用して下さい。
ただし、漂白剤と同じで色落ちはありますので、それが嫌な場合は熱湯で煮沸消毒するという方法もあるにはあります。
3、もみ洗いをすると二次感染の危険があります。2と同じく塩素系消毒液か煮沸消毒した後に洗濯をしましょう。
5、40℃ではノロウイルスを死滅できません。85℃から90℃以上の熱湯である必要があると言われていますので、誤りです。
問題55
- 1 行政書士
- 2 消費生活センター
- 3 家庭裁判所
- 4 保健所
- 5 相談支援事業所
消費生活センターは、事業者に対する消費者の苦情を聞いたり、相談をおこなう地方公共団体が設置する機関です。
解説:
1、行政書士は、官公署に提出する許認可などの申請書類の作成・提出手続きの代理などをおこなう専門職です。
3、家庭裁判所は、家庭に関する事件の審判や、少年の保護事件の審判などの権限を有する日本の裁判所です。
4、保健所は、保健・衛生・生活環境等の公衆衛生の向上・増進を図るための機関です。
5、相談支援業務は、障害福祉サービス等を申請した障害者(児)に対して、サービス等利用計画の作成やモニタリングをおこなう事業です。
問題56
- 1 起床時に日光を浴びるように勧める。
- 2 日中、長い昼寝をするように勧める。
- 3 夕食後 2 時間以内に就寝するように勧める。
- 4 寝る前に緑茶を飲むように勧める。
- 5 決まった就床時刻を守るように勧める。
起きた時に日光を浴びると、脳内でセロトニンという覚醒を促すホルモンが分泌され、体内時計を整える効果があります。
睡眠とは関係ないようにも思えますが、体内時計を整える事で朝起きて夜寝るというリズムに戻す事が期待できます。
私たちもやった方が良いですね。
解説:
2、日中に長い昼寝をしてしまうと生活リズムが崩れてしまいます。
私たちでも昼寝すると夜寝られない事がありますよね。
3、食事をとってすぐは、体が消化吸収に集中しているので眠りが浅くなりやすいです。少なくとも3時間以上はあけるのが望ましいと言われています。
4、緑茶にはカフェインが含まれていて、カフェインには覚醒作用がありますので、就寝前に摂るのは眠れない原因になりかねません。
5、就寝時間を決めたからといって寝られる訳ではないでしょう。眠れない原因と眠れるような対策が大切です。あとは言い方によっては命令に聞こえそうです。親が子供に言ってそうな言い方ですね。
問題57
- 1 湿度は 20%以下に設定する。
- 2 寝衣は、体に密着した形のものを選ぶ。
- 3 冷暖房の風が、体に直接当たるようにする。
- 4 夜間の照明は、部屋全体がはっきり見える明るさにする。
- 5 介護福祉職同士の会話が響かないようにする。
話し声が聞こえていたら、気になるしうるさくて眠れませんよね。同じ理由から足音や物音にも気をつけましょう。夜は思っている以上に音が響きますので。
解説:
1、快適な湿度は、40から60%と言われており、40%以下になると目や喉の乾燥を感じるようになります。乾燥してくるとインフルエンザウイルスなどの活動が活発になってくる、とも言われていますので乾燥には注意しましょう。
2、ぴったりした服だと動きづらかったり、苦しかったりしますし、通気性も悪くなりますので汗もかきやすくなってしまいます。
ゆとりのある服の方が眠りには良いでしょう。
3、冷暖房の風が直接当たると、喉や皮膚が乾燥しますし、何より暑すぎたり寒くなったりしますので、安眠は出来ません。
4、部屋が明るすぎると眠りが浅くなってしまいます。間接照明や足元だけを照らすような照明を使用するのが良いです。
問題58
- 1 アルコールと一緒に服用してもらった。
- 2 服用後、1 時間は起きているように伝えた。
- 3 日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。
- 4 通常の量では眠れないと言われたので、追加して飲むように伝えた。
- 5 体調に合わせて服薬時間を変更した。
解説:
1、肝臓の働きに障害が起こったり、酩酊状態になったり、逆に薬の副作用を引き起こしてしまったり、お互いに悪影響を及ぼしますので、アルコールと睡眠薬を併用してはいけません。
睡眠薬じゃなくて普通のお薬でも、アルコールと飲まないように言われます。
2、1時間起きている根拠が分かりません。そもそも飲んでから1時間起きてないといけないのなら、飲む時間を睡眠の1時間前にする必要があるでしょう。
あと、「起きているように」は言い方が悪い。
4、お薬、しかも睡眠薬の量を勝手に変更するのはかなり危険です。お薬の変更はまず医師に相談してください。
5、4と同じく飲む時間も医師によって決められたものなので、時間を変更する場合も医師に相談してください。
問題59
- 1 「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」
- 2 「Bさんに意識はないので心配いらないですよ」
- 3 「痰の吸引をすると楽になるので準備しますね」
- 4 「Bさんを励ましてください」
- 5 「すぐに救急車を呼びましょう」
医師から、あと数日でしょうと言われており、死前喘鳴は自然な経過です。ご家族にも自然な経過であることをお伝えして、少しでも楽な体位になってもらい、ご家族に見守ってもらいましょう。
解説:
2、死前喘鳴があるからといって、意識がないかどうかは分かりません。また、呼吸が苦しそうだと言っているご家族に対して何の説明もなく心配いらないですよ、と言っても不安は取り除けません。
ご本人の苦痛とご家族の不安を取り除くためのケアを考えましょう。
3、死前喘鳴の場合、痰は吸引出来ない事も多く、吸引をおこなう事で余計に呼吸が苦しくなってしまう場合もあります。どうしても吸引が必要だと思ったら、まずは医師に相談しましょう。
4、これから自然に死に向かっていく人に対して、励ますのは適切ではありません。その方の最期を見守っていただくのが、適切でしょう。
5、最期はこの施設で迎えたいという希望がありますので、施設の中で安楽に最期を迎えていただけるようケアをおこないましょう。救急車を呼ぶ事で苦痛が増えてしまう可能性もあります。
問題60
- 1 ペースメーカーを取り除く。
- 2 口が閉じない場合は紐で顎を固定する。
- 3 衣服は着衣がしやすい服を選ぶ。
- 4 全身清拭には水を使用する。
- 5 家族に、死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。
ご家族の中でも、死亡後の介護を一緒におこないたい方と、おこないたくない方がいらっしゃいます。介護福祉職が一方的に誰がと決めるのではなく、意思を確認する事が大切です。
解説:
1、ペースメーカーを取り除くことは、死亡後であっても介護福祉職には出来ません。
2、紐で顎を固定することは、故人や家族に対して失礼です。死後硬直の前でしたら、枕を高くすることで自然に口が閉じる事もあるようです。
3、着衣しやすい服ではなく、故人が好んで着ていた衣類やご家族が用意された衣類に着替える事が一般的です。
4、水ではなく、温めのお湯やアルコール、温めのお湯にアルコールを入れた物で清拭します。身体を清めるという意味合いと排泄物や吐物からの感染予防の意味もありますので、アルコールを使用する事もあります。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
コメントを残す