【試験対策】第32回介護福祉士国家試験。解答と解説。「介護過程」を分かりやすく説明いたします。【過去問】

 
むなかた
ご訪問ありがとうございます。
むなかたと申します。

今回は第32回試験過去問の中から、「介護過程」について解説していきたいと思います。

私の経験から言わせていただくと、介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをしっかりとやっていけば、テキストなどを買わなくても、充分に合格が出来る問題だと思います。

試験合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!

では、早速始めていきたいと思います。

介護過程

問題61

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 利用者の価値観を変える。
  • 2 利用者の療養上の世話をする。
  • 3 利用者の経済的負担を軽減する。
  • 4 利用者の望んでいる、よりよい生活を実現する。
  • 5 利用者の生活習慣を改善する。
答え:4です。

介護過程の目的は、利用者さんの望む、よりよい生活、よりよい人生の実現を支援する事です。

解説:
1、利用者さんの価値観は尊重してください。変えるものではありません。

2、療養上の世話は医療の役割になります。

3、よりよい生活のために、経済的負担を軽減する事が必要になることはあるかもしれませんが、経済的負担を軽減する事自体が、介護過程の目的ではありません。


5、目的を達成するために、生活習慣を改善する必要がある場合はありますが、生活習慣を改善すること自体が介護過程の目的ではありません。

問題 62

介護計画の作成に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 抽出されたニーズを踏まえて目標を設定する。
  • 2 内容が明確であれば支援方法の記載は省略する。
  • 3 支援方法は「~させる」と使役文で記載する。
  • 4 利用者の正しい理解を促すために専門用語を用いる。
  • 5 計画の見直しの時期は決めない。
答え:1です。

介護計画はアセスメントによって抽出された、「生活全般の解決すべき課題」を解決するために作成していきます。

解説:
2、内容が明確であっても、支援方法の記載がなければ正しく伝わらない可能性があります。介護計画はご本人やご家族、他職種の人も見るものなので詳細に記載してください。

3、介護計画は利用者さんが主体なので、語尾も主体的な表現にしてください。そもそも、利用者さんを使役してはいけません。


4、専門用語を使ってしまうと、専門の人しかわからなくなってしまいます。ご本人やご家族など介護の専門家ではない人も見るものなので、専門用語ではなく、分かりやすい言葉を使いましょう。


5、介護計画では、支援の期間や見直しの時期を決めておく必要があります。その見直しと評価で、新たなニーズや問題、それに対する支援が必要になる事があるからです。

問題 63

介護計画の実施に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 介護福祉職の価値観に沿って実施する。
  • 2 実施した状況は客観的に記録する。
  • 3 計画の内容は実施の直前に家族に伝える。
  • 4 他職種への経過報告は目標の達成後に行う。
  • 5 利用者の満足度よりも目標の達成を優先する。
答え:2です。
主観では無く客観的に分かりやすく記録する事を心がける必要があります。客観的に分かりやすく記録する事で、情報を共有して分析する事ができます。

解説:
1、介護福祉職の価値観ではなく、利用者さんの価値観やアセスメントに沿って作成します。

3、実施の直前ではなく、介護計画を作成したらご本人とご家族に内容を説明して、理解と同意を得ておく必要があります。直前だと内容に同意を得られないまま実施する事になりかねません。もしくは実施出来ないか。


4、目標の達成後にも経過報告は必要ですが、それ以外にも体調や能力の変化があった時や定期的な経過報告は必要となります。


5、満足度も目標の達成もどちらも大事です。

次の事例を読んで、問題 64、問題 65 について答えなさい。
〔事 例〕
Cさん(75 歳、男性、要介護 1 )は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。2 か月前から在宅復帰を目的として介護老人保健施設に入所している。次女は遠方から時々面会に来ているが、長女とは音信不通の状態が続いている。
Cさんは現在、右片麻痺で歩行には杖を使用している。担当の理学療法士から、「レクリエーションには積極的に参加するなど意欲はあるが、歩行状態が思うように改善しないと悩んでいた」との報告があった。
その後、歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。また、時々尿失禁をするようになった。
Cさんは、「自宅に帰りたいのに、このまま車いすになったらどうしよう」と担当の介護福祉職に打ち明けた。

問題 64

Cさんの介護過程の展開に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 長女から入所前の情報を収集する。
  • 2 現状を再アセスメントし,生活課題を抽出する。
  • 3 自宅に戻った後の介護計画を立案する。
  • 4 尿失禁に対応する介護計画の実施を優先する。
  • 5 介護計画の最終的な評価は理学療法士が担当する。
答え:2です。

状態が変わってきたら、介護計画を変更する必要があります。再度アセスメントをおこない、新たな生活課題を設定して介護計画を作成します。

解説:
1、長女は音信不通で、その理由もわからないので、連絡が取れるかどうかも不明。もし、連絡が取れたとしても音信不通だった人が入所前に関わりがあったかも分からない。

3、自宅に戻った後の介護計画ではなく、自宅に戻るための介護計画を立案する必要があります。


4、尿失禁への対応を優先するのが誤りです。Cさんは、「このまま車いすになったらどうしよう。」と不安に思っているので、そこへの対応が優先となります。


5、理学療法士からの評価も大切ですが、介護計画は介護福祉職や医療職、福祉用具など関わっている人すべての評価が大切です。

問題 65

次の記述のうち、Cさんの短期目標として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 車いすの使用方法を理解する。
  • 2 居室のベッドで安静に過ごす。
  • 3 次女との同居を実現する。
  • 4 今まで以上に,意欲的に歩行訓練に取り組む。
  • 5 居室を出てレクリエーションに参加する。
答え:5です。
短期目標は身近で具体的な事から初めていきます。まずは歩行訓練やレクリエーションに参加して、ベッドで寝ている事が多くなった生活を改善します。

解説:
1、車いすになったらどうしようと不安になっているCさんに、車いすの使用をすすめるのは誤りです。

2、ベッドで寝て過ごす事が多くなった事による、能力の低下が心配されています。この状態で安静をすすめると、さらに能力が低下してしまう恐れがあります。

3、ご本人、次女さん共に同居への希望があるかどうか不明です。この状態で同居をすすめるのは誤りです。

4、歩行訓練やレクリエーションに参加されず、ベッドで寝て過ごされる事が多くなっている時に、いきなり意欲的になって下さい、というのは難しいでしょう。やるのであれば短期目標=レクリエーションに参加、長期目標で=意欲的に歩行訓練に取り組む、でしょうかね。

次の事例を読んで、問題 66、問題 67 について答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(77 歳、男性、要介護 2 )は、妻と二人で暮らしている。定年まで、高校の体育の教師で野球部の監督をしていた。起居動作に問題はないが、認知症(dementia)と診断されたため、現在、通所介護(デイサービス)を週 3 回利用している。通所介護(デイサービス)では、短期目標を「役割を持ち意欲的に生活する( 3 か月)」と設定し、体操を指導する役割をお願いしていた。
実施 1 か月が経過した頃、テレビで高校野球を見たDさんは暗い表情で、「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と嘆いていた。この日は、担当の介護福祉職が体操の指導をお願いしても、「今すぐ行かなければ」と断った。

問題 66

Dさんが体操の指導を断った理由の解釈として、最も可能性が高いものを1 つ選びなさい。
  • 1 介護福祉職に依頼されたため。
  • 2 妻に会いに自宅に帰りたいため。
  • 3 高校野球のことが気になっているため。
  • 4 立ち上がり動作が不安定なため。
  • 5 体育の授業を行うため。
答え:3です。

テレビで高校野球を見てから、暗い表情で嘆いておられ「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と言われている事から、この可能性が一番高いと思われます。

解説:
1、介護福祉職とのエピソードが何も無く、今までは体操の指導をしてくれていた事から考えて、可能性は低いと思われます。

2、「いますぐ行かなければ。」と言って断られているので、可能性は0ではありませんが、かなり低いと思われる。


4、起居動作に問題はないと書かれていますので、この可能性は考えにくいです。


5、これも無いとは言えませんが、体育の話は出ていなかったの可能性は低いでしょう。

問題 67

その後も体操の指導を継続していたDさんは、参加者から体操の順番が違うと指摘されて指導の意欲を失い、一人でいることが多くなった。しかし、体操の時間になると遠くからその様子を眺めていた。
Dさんが今後も現在の役割を継続するために、優先して取り組むべき課題として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 体操に対する関心を取り戻すこと。
  • 2 体操の内容を変更すること。
  • 3 体操を指導する自信を回復すること。
  • 4 体操の正しい順番を学び直すこと。
  • 5 指摘した参加者に謝ること。
答え:3です。
遠くから体操の様子を眺めている事から、意欲は失っていないと思われます。体操の順番が違うと指摘されてから指導されなくなっているので、指摘によって自信を失くしてしまったと考えられます。

解説:
1、遠くから様子を眺めている事から、気にはなっていると思われます。なので誤りです。

2、体操の内容で意欲を失った可能性は低いので、内容を変更しても効果は薄いでしょう。なので誤り。


4、指摘された時以外は、体操の指導をおこなえていたご様子なので、順番を変えても意欲は戻らないと考えられます。逆に順番を変える事で、ますます体操の指導に自信が無くなる可能性もあります。


5、指摘した人に謝る事は、人間関係的には必要かもしれませんが、自信の回復にはむしろ逆効果かもしれません。

問題 68

Eさん(70 歳、女性、要介護 1 )は、夫、長男と共に農業をしていた。半年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺になった。現在は介護老人保健施設に入所し、リハビリテーションに取り組んでいる。介護福祉職が居室を訪れたとき、Eさんが、「料理は苦手なの」「そろそろ夏野菜の収穫の時期ね。収穫は楽しいし、採れたての野菜を近所に配るとみんな喜ぶのよ」と言った。その後、「夫には家事に専念しなさいと言われているから…」とうつむいて言った。
介護福祉職は介護福祉職間のカンファレンス(conference)でEさんの思いを共有した。Eさんの思いとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
  • 1 農業に関わっていきたい。
  • 2 家事に専念したい。
  • 3 後継者の育成に関わりたい。
  • 4 家でのんびりしたい。
  • 5 料理の自信をつけたい。
答え:1です。

「料理は苦手」「野菜を近所に配るとみんな喜ぶのよ。」と言われている事から家事よりも野菜の方に関心がある事が分かります。夫から家事に専念しなさいと言われている事から、農業に関わる事を遠慮しているご様子も伺えます。

解説:
2、料理は苦手と言われている事から、専念したいという思いだとは考えにくい。うつむきながら「家事に専念しなさいと言われているから」と言っている事からも、あまり前向きな発言では無いと思われます。

3、そもそも後継者の話が出ていないので可能性は低いでしょう。


4、これも同じくご本人の発言が無いので、こういった思いがあるのか無いのかも分かりません。想像だけになっているので誤りです。


5、これは思っているかもしれませんが、料理の自信をつける事と収穫の楽しさや野菜を配って喜ばれる事では、後者の方にやりがいを感じておられると思います。

それでは、今回はこの辺で失礼いたします。


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