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むなかたと申します。
今回は第31回試験過去問の中から、「社会の理解」について解説していきたいと思います。
私の経験から言わせていただくと、介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをしっかりとやっていけば、テキストなどを買わなくても、充分に合格が出来る問題だと思います。
試験合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!
では、早速始めていきたいと思います。
社会の理解
問題 5
- 1 衣食住などの生活水準を維持しようとする機能は、生命維持機能である。
- 2 個人の生存に関わる食欲や性欲の充足、安全を求める機能は、生活維持機能である。
- 3 子育てにより子どもを社会化する機能は、パーソナリティの安定化機能である。
- 4 家族だけが共有するくつろぎの機能は、パーソナリティの形成機能である。
- 5 介護が必要な構成員を家族で支える機能は、ケア機能である。
家族の機能に関する問題です。
この問題の5つの分類が何を元にしているのかは調べても分かりませんでしたが、いくつかの分類は見つけることが出来ました。
誰の考えが元になっているのかご存じの方がいれば、教えて下さい。
解説:
1、衣食住などの生活水準を維持しようとする機能は、生活維持機能です。
2、個人の生存に関わる食欲や性欲の充足、安全を求める機能は、生命維持機能である。
3、子育てにより子どもを社会化する機能は、社会科機能である。
4、家族だけが共有するくつろぎの機能は、パーソナリティの安定化機能である。
問題 6
- 1 育児・介護のダブルケアへの対応
- 2 すべての住民が支え合い、自分らしく活躍できる地域コミュニティの創出
- 3 高齢者分野の相談支援体制の強化
- 4 公的サービスに重点を置いた地域福祉の充実
- 5 専門職主体の地域包括支援体制の構築
すべての住民が支え合い、自分らしく地域で暮らしていける事を目指しています。
厚生労働省HP「地域共生社会」に向けて より引用
解説:
1、ダブルケアとは親の介護と育児を同時におこなっている状態の事で、問題にはなっているが目指すものではない。
3、高齢者分野だけではなく、包括的な相談支援体制を目指しています。
4、公的サービスではなく地域住民が自分たちで支える事を目指しています。
5、専門職だけでなく、住民が主体の支援体制を作っても良い。
問題 7
- 1 社会福祉法に基づいて法人格を取得した法人である。
- 2 収益を上げることは禁じられている。
- 3 社会教育の推進を図る活動を行うものが最も多い。
- 4 認定特定非営利活動法人は、税制上の優遇措置を受けることができる。
- 5 災害救援は対象外の活動である。
認定特定非営利活動法人は、税制上の優遇措置を受ける事が出来ます。
詳細は『特定非営利活動促進法』を参照して下さい。
解説:
1、社会福祉法に基づいて法人格を取得した法人は社会福祉法人です。NPO法人は特定非営利活動促進法に基づいています。
2、収益を上げることは禁じられてはいません。ただし、収益事業を継続しておこなう場合には法人税が課税されます。
3、保健、医療又は福祉の増進を図る活動(39.7%)がもっとも多くなっています。
内閣府「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査報告書」を参考
5、災害救援も活動の対象となっています。
問題 8
- 1 契約社員は、育児休業を取得できない。
- 2 介護休業は、対象家族一人につき連続して取得しなければならない。
- 3 介護休業は、育児休業よりも先に制度化された。
- 4 雇用主には、育児休業中の給与支給が義務づけられている。
- 5 配偶者、父母、子、配偶者の父母は、介護休業の対象家族である。
(注)「育児・介護休業法」とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことである。
介護休業の対象者は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟、孫となっています。
詳しくは『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』をご参照下さい。
解説:
1、契約社員でも条件を満たせば育児休業を取得できます。
2、2017(平成29)年1月の法改正から、介護休業は分割して取得できるようになりました。
3、介護休業より育児休業の方が先に制度化されています。育児休業法が施行されたのが1992(平成4)年4月、育児・介護休業法として新たに施行されたのが1995年(平成7)年10月です。
4、雇用主には、育児休業中の給与支給が義務づけられていません。育児休業中の育児休業給付は雇用保険法に基づいて支給されています。
問題 9
D管理者の対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 利用が困難ということなので、通所介護計画を変更する。
- 2 通所介護(デイサービス)の利用日は会社を休むように、娘に言う。
- 3 担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に、再調整を依頼する。
- 4 児童相談所に相談するように、Cさんに助言する。
- 5 娘に転職をしてもらうように、Cさんに助言する。
まずはケアマネさんに状況を報告して、現状にあわせてどうすればデイを継続出来るかを考えましょう。
解説:
1、Cさんはデイサービスを楽しみにしているので、続けられる方向で方向を考えましょう。まずはCMと相談です。
2、Cさんがデイサービスを楽しみにしているからといって、娘様の都合を無視してはいけません。母のデイサービスがあるので仕事休みます、と言って休ませてくれる会社もなかなかないでしょう。
4、今回は保育所に入所出来なかった事が発端なので、まずは保育所申請の窓口で事情を説明して再検討してもらう方が良いでしょう。その後、児童相談所にお世話になることはあるかもしれませんが、最も適切とは言えません。
5、離婚してお子さんもいる娘様に、転職をすすめることは相当な負担になると思われます。ご家族の関係が悪くなることも考えられますので、安易に提案出来ることではありません。
問題 10
- 1 パートやアルバイトは、保険給付の対象である。
- 2 保険料は、雇用主と労働者がそれぞれ負担する。
- 3 通勤途上の事故は、保険給付の対象外である。
- 4 業務上の心理的負荷による精神障害は、保険給付の対象外である。
- 5 従業員がいない自営業者は、保険給付の対象である。
職種や雇用形態に関わらず、賃金を受け取っているすべての人に適用されます。
詳しくは『労働者災害補償保険法』をご参照下さい。
解説:
2、業務上の災害に対する補償責任は事業主にあるので、保険料は全額事業主が負担します。
3、就業中、通勤中ともに労災の対象となります。
4、業務上の心理的負荷による精神障害も保険給付の対象となります。むしろ近年ではこのような心理的負荷によるケースが増えてきています。
5、労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。となっており、従業員がいない自営業者は対象外です。
事業主が補償を受けられる方法としては、特別加入制度というものがあります。
問題 11
- 1 介護医療院の創設
- 2 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設
- 3 在宅医療・介護連携推進事業の地域支援事業への位置づけ
- 4 地域包括支援センターへの認知症連携担当者の配置
- 5 法令遵守等の業務管理体制整備の義務づけ
平成30年4月より創設されることとなった「介護医療院」は、長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた施設です。
厚生労働省HPより引用
解説:
2、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設は2012平成24年4月です。
3、在宅医療・介護連携推進事業の地域支援事業への位置づけは2015(平成27)年4月におこなわれました。
4、地域包括支援センターへの認知症連携担当者の配置は2009(平成12)年4月から始まっています。
5、法令遵守等の業務管理体制整備の義務づけは、平成20年の介護保険法改正により、平成21年5月に施行されました。
問題 12
- 1 施設の食費は、材料費等の実費を新たに全額自己負担することになった。
- 2 補足給付の支給要件から資産が除かれた。
- 3 居宅介護サービス計画費について自己負担が導入された。
- 4 施設の居住費は,新たに保険給付の対象外とされた。
- 5 一定以上の所得のある利用者に対して 3 割負担が導入された。
3割負担が導入されたのは2018 年(平成 30 年)の介護保険制度改正の時です。
解説:
1、施設の食費は、2005(平成17)年10月から自己負担になりました。
在宅でのサービスは食費や居住費が介護保険の対象にならないのに、施設に入所している人は対象になるのは不平等という考えから変更になりました。
2、補足給付とは
食費・居住費について利用者負担第1~第3段階の方を対象に、所得に応じた負担限度額を設定。
標準的な費用の額(基準費用額)と負担限度額との差額を介護保険から特定入所者介護サービス費として給付。
2015(平成27)年8月から支給要件に資産要件が加わったので、除外は誤りです。
3、居宅介護サービス計画費はまだ自己負担はありません。
4、施設の居住費が保険給付の対象外となったのは2005(平成17)年10月です。
問題 13
- 1 放課後や休日に児童・生徒の活動を支援する放課後等デイサービスが創設された。
- 2 一人暮らしを希望する障害者に対して、地域生活を支援する自立生活援助が創設された。
- 3 障害者の 1 年間以上の雇用継続を義務づける就労定着支援が創設された。
- 4 保育所等を訪問して、障害児に発達支援を提供する保育所等訪問支援が創設された。
- 5 医療的ケアを必要とする障害児への支援として、医療型障害児入所施設が創設された。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
自立生活援助とは、1人暮らしを希望する障害者に対して、以下のような支援をおこなうサービスです。
・定期的な巡回訪問
・随時通報を受けての訪問
・必要な情報提供
・自立生活に対する助言や相談
解説:
1、放課後等デイサービスは2012(平成24)年4月に児童福祉法に位置付けられて創設されたサービスです。なので誤り。
3、就労定着支援は2016(平成28)年に創設されましたが、1 年間以上の雇用継続を義務づけるものではなく、就労に伴う生活面の課題に対応できるよう、事業所・家族との連絡調整等の支援を一定の期間にわたりおこなうサービスになります。
4、保育所等訪問支援は2012(平成24)年の児童福祉法の改正で創設されました。
5、医療型障害児入所施設も2012(平成24)年の児童福祉法改正時に創設されました。
問題 14
- 1 社会福祉士は、福祉関連法に定められた援護、措置の事務を行う。
- 2 精神保健福祉士は、心理検査を実施して精神面の判定を行う。
- 3 理学療法士は、手芸や工作の作業、家事の訓練を行う。
- 4 言語聴覚士は、聴覚検査や言語訓練、嚥下訓練を行う。
- 5 栄養士は,摂食の訓練や摂食のための自助具の作成を行う。
解説:
1、「社会福祉士及び介護福祉士法」には、社会福祉士とは「専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連携及び調整その他の援助を行うことを業とする者」とされています。
2、精神保健福祉士は、精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加に向けての支援活動を支援し、その人らしいライフスタイルの獲得を目標として、連携や調整をおこないます。
3、理学療法士は、病気や事故などにより、身体に障害や不自由を抱えた人や、身体機能が低下した高齢者などに対してリハビリテーションを行い、回復のサポートをするのが仕事です。
具体的なリハビリ内容は、立つ、座る、歩行、寝返りなどといった運動で、これらの基本的な運動機能回復が目的です。
5、栄養士は、個人または集団に対して「食事や栄養の指導」をしたり、献立作成や食材の発注、栄養素の計算など「食事の管理」をする仕事です。
問題 15
訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 通所介護(デイサービス)の職員に注意しておくと伝える。
- 2 介護保険審査会に申し出るように助言する。
- 3 介護保険の事業所の苦情対応の仕組みを説明して、担当者に相談するように助言する。
- 4 しばらく様子を見てから、改めて相談に応じると伝える。
- 5 日常生活自立支援事業を契約して、苦情解決を援助してもらうように助言する。
苦情を相談する場合にはだいたい以下の流れで相談していきます。
- 事業所の苦情相談窓口に相談する。
- 1で解決できない場合は、市区町村の苦情相談窓口に相談する。
- 2で解決できない場合は、都道府県が管轄する国民健康保険団体連合会の介護サービス苦情処理委員会に相談する。
解説:
1、他所の事業所に注意するのは、余計なお世話です。
苦情の相談窓口がある事をお伝えして、そこに相談するように助言しましょう。
2、介護保険審査会は、要介護認定や保険給付に関する事を申し立てる場所で、介護サービスに関する苦情に対応する場所ではありません。
4、苦情対応は早期対応が基本です。不満を長く溜めていると、我慢しているうちに爆発してしまうので、そうなる前に解決を目指します。
5、日常生活自立支援事業は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等をおこなうものです。
介護サービスの苦情解決をおこなう場所ではありません。
問題 16
社会福祉法人に関する次の記述のうち、適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 設立にあたっては、所在地の都道府県知事が厚生労働大臣に届出を行う。
- 2 収益事業は実施することができない。
- 3 事業運営の透明性を高めるために、財務諸表を公表することとされている。
- 4 評議員会の設置は任意である。
- 5 福祉人材確保に関する指針を策定する責務がある。
平成26年度より、法人運営の透明性を確保することを目的として、全ての法人において、財務諸表等の公表義務化を実施。
第3回社会保障審議会福祉部会
平成26年9月11日資料1
運営の透明性の確保の在り方より
解説:
1、社会福祉法人を設立しようとする者は、定款を定め厚生労働省令で定める手続に従い、定款について所轄庁の認可を受けなければならない。
2、社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業の経営に充てることを目的とする事業を行うことができる。
4、社会福祉法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。
5、福祉人材確保に関する指針は厚生労働省の取り組みです。
解説は『社会福祉法』を参考にしています。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。