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むなかたと申します。
今回は第32回試験過去問の中から、「総合問題」について解説していきたいと思います。
私の経験から言わせていただくと、介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをしっかりとやっていけば、テキストなどを買わなくても、充分に合格が出来る問題だと思います。
試験合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!
では、早速始めていきたいと思います。
総合問題
(総合問題 1 )
次の事例を読んで、問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Lさん(78 歳、女性)は一人暮らしをしている。「もったいない」が口癖で、物を大切にし、食べ物を残さないようにして生活している。
半年前、脳の細い血管が詰まっていることがわかり、入院して治療を受けた。左半身にしびれがあり、右膝の変形性関節症(osteoarthritis)で痛みもあったために、介護保険の申請をしたところ、要介護 1 になった。
家事はできるだけ自分でしたいという希望から、週に 2 回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して、掃除と調理を訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒にしている。
問題 114
- 1 ラクナ梗塞(lacunar infarction)
- 2 くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)
- 3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)
- 4 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
- 5 高次脳機能障害(higher brain dysfunction)
”ラクナ”とはラテン語で”小さなくぼみ”という意味で、脳の深い部分を流れている細い血管が詰まってしまうことで起きる脳梗塞を「ラクナ梗塞」といいます。
解説:
2、くも膜とは、脳の外側を覆っている脳と脳脊髄(のうせきずい)液全体を包んでいる膜で、くも膜の内側の液体がたまっているスペースがくも膜下腔です。
このスペースで出血が起こると「くも膜下出血」と呼ばれます。
3、頭部外傷後、通常1~2カ月かけて、頭蓋骨の下にある硬膜(脳と脊髄を覆う膜の一つ)と脳の間にじわじわと血液がたまって血腫ができる病気です。
血腫が大きくなり脳を圧迫することで、頭痛、物忘れ、認知症によく似た症状(意欲の低下、性格の変化、反応の低下など)、歩きにくさ、片方の手足に力が入らないなどさまざまな症状をきたします。
4、脳と脊髄は、頭蓋内で脳脊髄液(髄液)という液体に浮いた状態で存在しています。
この髄液が、通常より多く頭蓋骨の内側に溜まった状態が「水頭症」です。
このうち、腫瘍などにより髄液の通過障害が生じ、髄液が貯留して頭蓋内の圧が上がることを「非交通性水頭症」といいます。
一方、くも膜下出血や髄膜炎などで髄液の吸収障害が生じ、髄液が貯留することを「正常圧水頭症(Normal Pressure Hydrocephalus:NPH)」といいます。
この場合、髄液の交通は妨げられず、さほど頭蓋内圧が上がりません。
5、高次脳機能障害は、けがや病気によって脳に損傷を負い、知的な機能に障害が出て日常生活や社会生活に支障を来す状態を指します。
主な症状には、失語、半側空間無視、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
問題 115
Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 黙って処分する。
- 2 食べてはいけないと伝える。
- 3 食べやすいように,缶のふたを開けておく。
- 4 食べ方を相談する。
- 5 保存容器に移して保管するように勧める。
まずは食べるのか捨てるのか確認しましょう。食べるのであれば、どうやって食べるか相談します。
解説:
1、本人に処分するかどうか確認してから捨てて下さい。
2、命令です。やめて下さい。
3、食べるのかどうか確認しましょう。
5、保管するかどうか確認しましょう。
問題 116
次のうち、Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として、適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 訪問介護事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)
- 2 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター
- 3 地域包括支援センターの主任介護支援専門員
- 4 訪問介護事業所のサービス提供責任者
- 5 生活介護のサービス管理責任者
(総合問題 2 )
次の事例を読んで、問題 117 から問題 119 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Mさん(80 歳、男性)は、 2 年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して、介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。
その後、Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため、Mさんは、U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。
Mさんの入所当日、担当のA介護福祉職は、生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で、Mさんと関わった。
問題 117
- 1 施設サービス計画書
- 2 インシデント報告書
- 3 エコマップ
- 4 プロセスレコード
- 5 フェイスシート
フェイスシートとは、医療・福祉分野で援助を目的とした情報収集において使用される利用者の「氏名」「年齢」「性別」「家族構成」「健康状態」などの基本データをまとめた用紙。
サービスを利用する前に、まずはじめに「この利用者はどんな人か」を知る為の書類です。
解説:
1「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3つの施設でサービスを受けられるよう検討されたケアプランです。
ケアマネジャーがケアプランを作成します。
2誤った行為を実施してしまったり、実施しそうになってしまったりといったミスが発生することがあります。
このようなできごとを「インシデント」と呼びます。結果として患者さんに悪影響を及ぼさなかったものがインシデントに分類されますが、再発防止のために報告書の提出が必要になります。
3、要介護者を中心として、その周辺にある社会資源(家族、 兄弟姉妹、友人、近隣住民、医師、各種介護関連機関など)との相関関係を、ネットワーク として表現した地図のこと。
4、看護者と患者の間の相互作用にかんする文章による記録のこと。
問題 118
このときのMさんの症状に該当するものとして、適切なものを1 つ選びなさい。
- 1 幻視
- 2 失行
- 3 振戦
- 4 脱抑制
- 5 常同行動
失行とは、パターンや順序を覚える必要がある作業を行う能力が失われる障害です。
参考:MSDマニュアル家庭版
解説:
1、実際には存在しないものが見える症状。レビー小体型認知症の方によくみられます。
3、振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえです。振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こります。
4、脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことを指します。
脳の外傷、特に前頭葉の損傷では共通した症状としてみられるほか、せん妄、躁状態、薬物・アルコールの影響下にある人にも認められます。
5、同じ行動を繰り返しおこなう事をいいます。前頭側頭型認知症の方にみられることがあります。
問題 119
U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして、適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 公益事業
- 2 日常生活自立支援事業
- 3 相談支援事業
- 4 自立相談支援事業
- 5 地域生活支援事業
公益とは社会一般のためになる、公共の利益。
解説:
2、日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。
3、障害福祉に関する様々な情報提供や、そのサービスを利用するための計画の作成などをおこなうサービスです。
支援が必要な障害のある方やご家族が利用できます。
4、自立相談支援事業は、生活困窮者からの相談に早期かつ包括的に応ずる相談窓口となります。ここでは、生活困窮者の抱えている課題を適切に評価・分析(アセスメント)し、その課題を踏まえた「自立支援計画」を作成するなどの支援を行います。また、関係機関との連絡調整や支援の実施状況の確認なども行います。
5、障害者等が、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村を中心として実施される事業。
(総合問題 3 )
次の事例を読んで、問題 120 から問題 122 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Bさん(22 歳、男性)は、19 歳の時に統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神保健指定医の診察の結果、入院の必要があると診断された。Bさん自身からは入院の同意が得られず、父親の同意で精神科病院に入院した。
その後、数回の入退院を繰り返した後、21 歳から居宅介護を週 1 回、訪問看護を月 2 回、デイケアを週 3 回利用しながら一人暮らしをしている。
居宅介護では、料理や掃除、買物などの介護福祉職の支援を受けているが、Bさんも調子の良いときは一緒に行っている。訪問看護では、Bさんは、服薬を忘れることがあるため、看護師と一緒に薬の飲み忘れがないかを確認している。また、デイケアでは、運動と園芸のグループに参加している。
問題 120
- 1 任意入院
- 2 医療保護入院
- 3 応急入院
- 4 措置入院
- 5 緊急措置入院
患者さんご本人の同意がなくても、精神保健指定医が入院の必要性を認め、患者さんのご家族等のうちいずれかの方が入院に同意したときの入院です。
精神保健福祉法に基づく家族等とは、次のような方です。
① 配偶者
② 親権を行う者
③ 扶養義務者(直系血族、兄弟姉妹又は3 親等内の親族で家庭裁判所が選任した者)
④ 後見人または保佐人
解説:
1、任意入院とは本人の意思で精神科病棟へ入院することです。
3、患者さん本人またはそのご家族等の同意がなくても、精神保健指定医が緊急の入院が必要と認めたときに、72時間を限度として行われる入院です。
4、精神疾患があり自傷他害のおそれがある場合で、知事の診察命令による2人以上の精神保健指定医の診察の結果が一致して入院が必要と認められたとき、知事の決定によって行われる入院です。
5、精神疾患があり自傷他害のおそれがある場合で、正規の措置入院の手続きがとれず、しかも急速を要するとき、精神保健指定医1人の診察の結果に基づき知事の決定により72時間を限度として行われる入院です。
問題 121
話を聞いたC介護福祉職のBさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 「今すぐ薬を飲んでください」
- 2 「悪口の内容を詳しく教えてください」
- 3 「薬を飲んでいないからですよ」
- 4 「医師に話しておきますね」
- 5 「それは不安ですね」
まずは傾聴と共感から。
解説:
1、命令。誤り。
2、聴いても良いとは思いますが、最初ではない。誤りです。
3、決めつけ。この時点で原因はわかりません。
4、医師に伝える必要はあるかもしれませんが、まずはBさんのお話を聴いて何が起こっているのかを把握しましょう。
問題 122
Bさんへの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 自分で料理と掃除ができるようになることが優先であると話す。
- 2 服薬ができなかったことを取り上げ、治療に専念するように話す。
- 3 無理せず、今の生活を維持することが大切であると話す。
- 4 長所を一緒に探し、どのような仕事が向いているのかを考えようと話す。
- 5 他のメンバーの失敗原因を考え、失敗しない対策をしようと話す。
まずは出来ることとやりたい事から考えていきましょう。
解説:
1、どこから料理と掃除の話が出てきたか分かりません。誤りです。
2、就労に挑戦したいという前向きな気持ちになっているのに、過去の事を取り上げて自信を失わせる事になるかもしれません。誤りです。
3、考え方は人それぞれ。無難が良い人もいれば挑戦が良い人もいます。本人の気持ちを尊重しましょう。
5、考えても良いでしょうが、まずは自分の出来る事、やりたい事から話しましょう。出来る能力に着目です。
(総合問題 4 )
次の事例を読んで、問題 123 から問題 125 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(59 歳、女性)は 30 年前に関節リウマチ(rheumatoid arthritis)を発症して、現在、障害者支援施設に入所している。
Dさんは、朝は手の動きが悪く痛みがあるが、午後、痛みが少ないときは関節を動かす運動を行っている。足の痛みで歩くのが難しく車いすを使用しているが、最近は手の痛みが強くなり、自分で操作することが難しい。また、食欲がなく、この 1 か月間で体重が 2 kg 減っている。夜中に目が覚めてしまうこともある。
問題 123
- 1 睡眠不足
- 2 低栄養
- 3 平衡感覚の低下
- 4 筋力低下
- 5 関節の炎症
関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。
腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。
手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。
その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。
関節リウマチで生じる関節の腫れと痛みは、免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。免疫は、外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃して破壊し、それらを排除する働きを担っています。
しかし、免疫に異常が生じると、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。それにより炎症が起こり、関節の腫れや痛みとなって現れてきます。
その炎症が続くと、関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ上がり、さらに炎症が悪化して、骨や軟骨を破壊していきます。
解説:
1から4、朝の痛みの症状の原因としては不適切なので誤りです。
問題 124
- 1 介護給付費
- 2 補装具費
- 3 自立支援医療費
- 4 訓練等給付費
- 5 相談支援給付費
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具について、同一の月に購入又は修理に要した費用の額(基準額)を合計した額から、当該補装具費支給対象者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(政令で定める額が基準額を合計した額の百分の十を超えるときは、基準額に百分の十を乗じた額)を控除して得た額(補装具費)を支給する。
※政令で定める額…市町村民税世帯非課税者以外の者:37,200円、市町村民税世帯非課税者:0円
対象者は、補装具を必要とする障害者、障害児、難病患者等。
※難病患者等については、告示に定める疾病に限る。
解説:
1、介護保険のサービスを利用すると、原則として利用者は料金の1~2割を負担します。
残りの9割は介護給付としてサービスを提供した事業所に払われますが、その金額の算定基準のことを介護報酬(介護給付費)といいます。
3、自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
⚪︎通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
⚪︎更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
⚪︎育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)
が対象となります。
4、障害者自立支援法のサービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)をふまえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。
「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。
自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)があります。
5、相談支援とは、障害のある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、身近な市町村を中心として実施している事業のことです。
計画相談支援・障害児相談支援、地域移行支援・地域定着支援、障害者相談支援事業、住宅入居等支援事業(居住サポート事業)、成年後見制度利用支援事業などがあります。
問題 125
日常生活で、Dさんが当面留意すべきこととして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 前あきの衣類より、かぶりの衣類を選ぶ。
- 2 ベッドのマットレスは、柔らかいものを使用する。
- 3 関節を動かす運動を控える。
- 4 できるだけ低いいすを使う。
- 5 頸部が屈曲位になるように、高めの枕を使用する。
関節リウマチは関節の炎症なので、運動をすることで炎症が強くなる可能性があります。
解説:
1、前あきの衣類の方が着替えがし易いので誤りです。
2、柔らかすぎると動きにくいので誤りです。
4、あまり椅子が低すぎると立ち上がりがしにくくなるので誤りです。
5、頸部に負担がかかるので誤りです。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
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