むなかたと申します。
今回は第32回試験過去問の中から、「コミュニケーション技術」について解説していきたいと思います。
私の経験から言わせていただくと、介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをしっかりとやっていけば、テキストなどを買わなくても、充分に合格が出来る問題だと思います。
試験合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!
では、早速始めていきたいと思います。
コミュニケーション技術
問題27
- 1 利用者の感情と行動の矛盾点を指摘する。
- 2 うなずきやあいづちを用いて、利用者の話を促す。
- 3 利用者が話した内容を、整理して伝える。
- 4 利用者が話した内容を、別の言葉を使って簡潔に返す。
- 5 「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問をする。
「直面化」というのを初めて聞いたので、消去法で1になりました。
「直面化」とは、相手に問題は何かに気づいてもらえるように促す、カウンセリングのコミュニケーション技法。
「直面化」という言葉を知らないと難しい問題でした。
ただ、直面化という技法を正しく理解していないと、伝え方によっては相手にダメージを与えそうです。
解説:
2、「うなずき」や「あいづち」は「受容」や「共感」にあたります。なので誤り。
3、相手が話した内容を整理して伝えるのは「要約」にあたります。なので誤り。
4、別の言葉を使って簡潔に返すのは「言い換え」にあたります。なので誤りです。
5、「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問は「閉ざされた質問」にあたります。なので誤りです。
問題28
- 1 考え方を変えるように促す。
- 2 早く元気を出すように励ます。
- 3 意欲が自然に回復するまで待つ。
- 4 意欲低下の背景を考える。
- 5 自己決定してもらうのは避ける。
意欲低下の原因を理解して、一つひとつ原因を解決していくのが大切だと思います。
解説:
1、私たちもそうですが、考え方を変えるには非常に大きなエネルギーが必要です。意欲の無い状態で、そのエネルギーを求めるのは難しいでしょう。
2、悪く無いように思えますが、励まされる事でなんとかしなきゃ、と負担に感じるケースや、頑張っているのにこれ以上頑張れと言うのか!と言う気持ちになるケースもあるので誤りです。
3、待っていて回復すれば良いですが、おそらく待っているだけでは原因が解決されないので、意欲低下も解決しないと思います。なので誤りです。
5、自己決定せずに、他人が決めた事に従っているだけだと、無力感や自己否定からますます意欲が低下する恐れがあります。なので誤り。
問題29
- 1 閉じられた質問の活用を控える。
- 2 聞き取れないところは、再度言ってもらう。
- 3 はっきりと発音するように促す。
- 4 耳元で大きな声で話しかける。
- 5 筆談の活用を控える。
もう1回言ってもらう事で聞き取れる事もあります。ただし、何度も聞き返すのはやめましょう。伝わらない苛立ちを感じてしまう事になります。
構音障害とは、正しく発音出来ない状態のことを言います。
なので、話す事に問題が出てきますが、聞く、書く、読む事には問題はありません。
構音障害には大きく分けて2つあります。①機能性構音障害と②運動性構音障害がそれです。運動性構音障害は口、舌、喉などが上手く動かせなくなる事によって起こります。機能性構音障害は上記の器官に問題が無いのに、上手く音を出す事が出来ない場合を言います。
解説:
1、「はい」や「いいえ」の短い言葉で答えられる、「閉じられた質問」は構音障害の人でも答えやすいのでむしろ使った方が良いです。なので誤りです。
3、はっきりと発音出来ないのが構音障害です。出来ないことをやれと言われたらしんどいですよね。なので誤りです。
4、これは聴力に問題がある人への対応ですね。なので誤りです。
5、読む、書く能力には問題ないので、有効な手段となります。なので誤りです。
問題30
- 1 挨拶するときは後ろから声をかける。
- 2 話しかけることは最小限にとどめる。
- 3 聴覚,触覚,嗅覚を活用する。
- 4 声の強弱などの準言語の活用は控える。
- 5 方向を示すときは「あちら」「そちら」と表現する。
聴覚、触覚、嗅覚など他の情報から伝えていくと伝わりやすいです。
解説:
1、私たちもそうですが、いきなり後ろから声をかけられたら驚きます。声をかけるときは正面からでしょうね。
2、音から情報を集めて周囲の状況を確認しているので、積極的に声はかけた方が良いです。なので誤りです。
4、視覚障害者の方は、声の強弱や準言語から相手の気持ちや状態を判断しているので、使った方が良いです。なので誤りです。
5、あちらそちらでは伝わらないので、右、左、正面など具体的に伝えた方が良い。なので誤りです。
次の事例を読んで、問題 31、問題 32 について答えなさい。
〔事 例〕
Jさん(20 歳、男性)は,中度の知的障害を伴う自閉症(autism)があり、 2 か月前から就労継続支援B型事業所を利用している。Jさんは、日常生活に関することは自分の感情を伝えることができるが、他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手である。また,社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい。
ある日、事業所で作業中にJさんが興奮して他の利用者を叩いた。介護福祉職は二人を引き離し、Jさんを個室に連れて行って対応した。
作業終了後、同居している家族にJさんの出来事を伝えた。家族はJさんに、「どうしてそんなことをするの。いつもだめなことばかりして」とイライラした口調で叱った。
問題31
- 1 「人を叩くのは許されません」
- 2 「相手の気持ちを想像しましょう」
- 3 「自分のしたことを反省しましょう」
- 4 「ここで話をしましょう」
- 5 「なぜ叩いてしまったのですか」
なぜ個室に連れて来られたのか混乱してしまう可能性があるので、まずは個室に来てもらった理由を説明する必要がある。
分かりますが、もう少し優しく声かけしましょうよ。問題文だと怖い感じがして選べませんでした。(はい、言い訳です。)
解説:
1、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断するは難しい、とあるので許されませんと言われても理解するのは難しいでしょう。なので誤りです。
2、他者の感情を読み取ることは苦手、とあるので相手の気持ちを想像することは難しいと思われます。なので誤りです。
3、抽象的な言葉の理解が苦手です。自分のしたこと、は抽象的な表現なので、他の利用者を叩いた事など具体的に伝える必要があります。なので誤りです。
5、質問自体は悪くありませんが、もし、いきなり個室に連れて来られて混乱いていたら、そもそも駄目なので、まずは個室に連れてきた理由の説明、これからおこなうことの説明が先になります。
問題32
- 1 叱ることは正しいと支持する。
- 2 家族の対応は間違っていると否定する。
- 3 Jさんへのこれまでの対応や思いを聴く。
- 4 家族の対応には介入せずに黙認する。
- 5 介護福祉職の指示どおりに対応するように伝える。
ここでは肯定も否定もしないのが正解です。なぜ叩いたのか理由も状況もわからない状態で正しい、間違っている、とは言えないですよね。
そもそも、叱る事が正しいか間違っているかなんて簡単には決められない事です。
解説:
1、叱る事が正しいかどうかは分かりません。なので誤りです。
2、叱ってしまうご家族の気持ちも充分に理解出来ます。それを否定することは出来ませんので、誤りです。
4、イライラした口調で叱った、とある事からご家族のストレスが伺えます。介入せず黙認するのではなく、ご家族様のストレスを軽減できるように介入しましょう。
5、自己決定の原則。アドバイスは出来ますが、決定事項を指示してその通りにやらせる事は介護の理念にも反します。あくまでも決定するのはご本人とご家族です。
次の事例を読んで、問題 33、問題 34 について答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(80 歳、男性)は、中等度の認知症(dementia)があり、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居中である。16 時頃、KさんがL介護福祉職に、「仕事は終わりました。家に帰ります」と伝えてきた。その後、L介護福祉職がKさんの居室を訪問すると、Kさんは、「早く家に帰らなくては…」と言いながらタンスから衣類を取り出していた。
問題33
- 1 衣類をタンスへ戻すように促す。
- 2 居室から出ないようにお願いする。
- 3 ここに入居したことを覚えていないのかと質問する。
- 4 ここは仕事場ではないことを説明する。
- 5 挨拶しながら表情や行動を観察する。
まずはここからですね。話をしながら分かってくる情報もありますので、しっかりと状態の観察をする事が大切です。
解説:
1、いきなりタンスに衣類を戻すように言われても。まずはなぜ衣類を取り出しているのか、理由を聞くところから始めましょう。いきなり戻すように言われても、戻してはもらえないでしょうね。
2、居室から出ないように、と言うのは行動制限で身体拘束にあたります。やってはいけません。
3、認知症の方に覚えていないのかと聞く職員には、逆に認知症がどんな症状か覚えてないのか、と尋ねたいです。入居していると聞いて余計に混乱してしまう可能性もありますので誤りです。
4、入居している、仕事場ではないなど相手を否定する対応は不適切です。相手の世界観を理解して、気持ちに共感しましょう。
問題34
- 1 16 時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。
- 2 自宅のことが心配になって「家に帰る」という発言があった。
- 3 不安時に無断外出が心配されるため、様子の観察が必要と考える。
- 4 認知症(dementia)が悪化し、ここがどこなのかを理解していないようだ。
- 5 帰宅願望があったが、特に問題はなかった。
実際にあった事をそのまま記録してあるので、これが正しいです。
解説:
2、自宅の事が心配になって、とは一言も言っていないので客観的事実ではない。
3、完全に介護者の想像と想像による考えなので誤りです。
4、認知症が悪化した、と言うのは根拠がなく、理解してないようだ、と想像しているだけ。なので誤りです。
5、ご本人が仕事場にいると思っていた事、タンスから衣類を取り出していた事などが記載されておらず、起こった事が伝わっていない。なので誤りです。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
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